PS4は主記憶にGDDR5を使ってきたので、同じ主記憶向けメモリという括りでDDR4 SDRAMを比較対象にした。

当然ながらPCでGDDRがメインメモリに使われる可能性はまずあり得ない。GDDRを使うとメモリはMBに直付けと言う選択肢しか無くなる他、特許の問題が絡む。モジュール開発を前提にコストを削減しているPCでは展開しにくく、そもそもメモリは直付けであるUltrabookやタブレットではこれを行かせるような設計がまず難しいのと、すでにDDR3で直面している発熱と消費電力の高さという問題が存在するためにGDDR5がメインメモリに採用される事はまず無い。

従って、主記憶の速度という単純な物差しを持ち出すのならば、GDDR5とDDR4 SDRAMを比較対象にした。

意味は分かって貰えたか?

ちなみに

  • PS3は、GDDR3とXDRAMでメインメモリとグラフィックスメモリが別れている
  • Xbox360では、システムメモリはGDDR5だけだが、GPUに10MBのDRAMが混載されており、これがグラフィックスメモリの役割を果たしていたためこちらでも分断されていた。
  • Wiiは詳細が不明だが、こちらはXbox 360と似た様な、GPUにDRAMを混載し、システムメモリにGDDRを用いたと言う構成であると考えられる。一方、Wii UではDDR3-1600一本に絞られている。ただこちらではグラフィックスメモリとシステムメモリを一体で動かす事が可能なのかは不明だが、おそらく普通のメインメモリを共有するGPUと同じ動作をしているのではないかと考える。ただしWii UではGPUとCPUを一つのパッケージに入れるという特殊なことをしている。この点で実はPS4よりも速度は遅いものの構成としては似た様な事を可能にしている可能性はある。

また、GPUコンピューティングの世界ではGPU間でメインメモリを通さずにデータ転送できる仕組みが現在進行中で、NVIDIAはCUDA5.0でGPUDirectと言う仕組みを導入しこれを実現した。これは一見するとDMAによく似た仕組みに見え、結果としてやっている事は確かに似ているのだが、Remote DMAといった代物で結構中身が違う。CPUはもちろん、メインメモリを通さずにGPU間でメモリ転送を実現してやろうというものだ。さらに、ここにもうちょっと賢いコントローラをはさんでやると言う事が考えられていて、これは実はAMDだけではなく、NVIDIAが従来やっていたGPUボックスというGPUをSLIして専用のコントローラ積んで、PCIeと専用のバスで繋ぐようなシステムを作っていたが、それの応用、あるいはIntelがXeonPhiでやろうとしている。

なので、メモリ帯域では

  • メインメモリはそもそも種類が異なることもあって、PCは当分勝てない。(さらに言うとSDRAMの高速化は鈍化している)
  • しかし、高速なGDDRメモリを積んだGPUをもっと賢く使ってやろうという事は研究が進んでいて、この観点から似た様な事をPCが実現できるようになる可能性は高く、それはメインメモリ向け規格がGDDRよりも帯域で凌駕する日を待つよりはおそらく早い。

と言う事になる。